上級者への道

国連英検特A級(面接)【後編】

こんにちは、なみすけ85です。

前回記事では、国際情勢に関する質問に対して、如何に自分の中で英語で整理し想定問答をしておくか、について書きました。繰り返しになりますが、国連英検特A級(面接)に合格するためには、ここの準備がとても大切ということでした。

さて今回は、その準備が一通り終わって、そろそろ本番を迎える方向けの後編。さらに色々な話題や意見に触れ、自分の英語の回答のバラエティを増やしておきます。また面接の雰囲気を始めに知っておくことも大切なので、ざっくり書いています。

それでは、最後の面接試験に向けて、しっかり仕上げていきましょう。

面接のための情報収集と参考書(独学者向け)

前回で数多くの国際情勢にまつわる議論のトピックを掲載しました。

おおよそ世界の諸問題に対して自分の意見や提案事項というものは固まってきたでしょうか?

さて上記の基礎知識定着が大体終わると、さらに自分の意見に磨きをかけるため違う意見に触れ、そして専門単語を適度に仕入れ、新しいニュースも取り込んでいく「最終化作業」に入っていきましょう。

有料の英語学校等に通うと、このあたりのネタ集めについては良いアドバイスがもらえるのかもしれませんが、私のような独学者は自分で積極的に情報を探す他、手がありません。

その際私が使ってみて、実際に有益だった媒体を以下にご紹介します。

なお、1次試験から2次試験まであまり時間がないため、「いかに効率的にやるか」がポイントになります。下記の全部をやることは不可能と思われるので、ランキング形式でまとめておきます。

1位
評価
タイトル THE JAPAN TIMES / THE NEW YORK TIMES
媒体 英字新聞
説明 国連英検特A級の面接では、国連や海外のことだけでなく、日本についても多くのことが質問される。その際に、日本の身近なニュースを英字新聞で確認して、発信用英単語を蓄積しておくと、スムーズな回答ができる。もちろん新聞記事のトピックに対して自分の意見を言う練習もする。書店で200円程度でTHE JAPAN TIMESとTHE NEW YORK TIMESをセットで手に入れることができるので、コスパが最高。

 

2位
評価
タイトル 英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現
媒体 書籍
説明

お馴染み植田一三先生の本。

タイトルにもある様に、全体的により社会性の高い内容が収録されている。第3章では国連に関するトピックも用意されている。新しいアイデアの収集のみならず、自分の意見形成時にも有効なので、最初からこの本を読んでみるのも良い。 

3位
評価
タイトル United Nations News
媒体 オンラインニュース
説明 このままサーチエンジンで検索してもらうと日々更新される国連ニュースを見ることができる。何と言っても国連英検なので、国連と世界情勢の関わりを見ておくことは必須。国連として何をやっているのか、また何ができるのか日々考える。
http://www.un.org/news/

 

その他の情報源

  • Yahoo!ニュース(オンラインニュース)

最新情報の取り入れは必須。特に国際情勢のタブは二次試験用の情報の宝庫。
Yahoo!ニュースはふと携帯やPCを見た時にチェックするようにしていました。
もちろん日本語ですが、手軽に最新の正確な情報をキャッチアップすることができます。
https://news.yahoo.co.jp/

  • PROs and Cons(書籍)
created by Rinker
¥5,680
(2024/03/28 05:17:23時点 Amazon調べ-詳細)

タイトルの通り賛否両論に触れることができます。人の意見を知るというのも、自分の意見を形成する上ではとても大切。全てのトピックが国際情勢というわけはないが、国際関連ということで、「軍隊」、「EU」、「国連」、「共有資源」等について有益な議論がされています。

  • TIME(雑誌)

定期購読されている方はこれを見ない手はないと思われます。が、記事が長くインプットに時間がかかるので、アウトプットを重視したい学習では若干非効率な感も否めません。記事を読んで必要な情報を取り込んだ後は、自分の意見を言うところまでしっかりやりましょう。

面接の模擬練習

数は少ないですが、国連英検特A級の面接特訓を有料でやってくれる英語学校があります。

さらにオンライン特訓もあるようで、全国どこでも受講しようと思えばできるようです。

費用に余裕があれば受講しておくとより良いでしょうが、出費を抑えたいのであれば、Podcastやスカパーを上手に使えば、自分で模擬面接の練習ができます。

私の場合は、英語学校にはお世話にならず、1人寂しく?自宅で以下の特訓をしました。


やり方を工夫すれば、費用をかけずに合格できる可能性も十分あるということです。



面接本番の雰囲気

国連英検特A級の情報はただでさえ少ないのに、2次試験ともなると頼れるのはブログの情報くらいしかありません。

2次試験本番の雰囲気を少しでもお届けできるよう写真とともにお伝えします。

試験本番前

1. 会場

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2. 受付と控え室

特A級の面接はたいてい午前中集合。1次試験を合格した受験者数自体が少ないので、受付がスムーズ(TOEICとは大違い)。受験案内、Interview Sheet, Interview Evaluation Sheet (面接官用x2枚)、整理番号カードが手渡される。

控え室では、Interview Sheetを記入する。
公式問題集に付属しているのと同じ面接シート。(上にも写真掲載)
このシートは、入室後面接官に手渡し、およそ数十秒の間に必ず最初に目を通す。よって、面接官の方が内容を把握しやすい様に、大きな字でシンプルに喋りたい項目だけ記入。

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評価シートは上述の通り、10段階評価で、総合平均8(STRONG)以上。

なんだかこれだけ見ると、国際事情を多く知らずとも合格の80%に届きそうな気がしなくもないが、知識がなければKnowledgeだけでなく、そもそも話せないのでCommunicationをはじめComprehension, Speakingも同時に下げられて不合格ということになるのだろう。

会場には控え室が用意されており、特A級とA級の受験者が10名〜20名程度いる。A級を受験する小さなお子様もいて、まさに老若男女という感じでした。(それでもやはり高齢者が目立つかな)

3. 試験直前

会場到着から約2,30分後、別室の面接室に案内される。

前の受験者が受験している最中にその部屋の前で待機するので、前の方のやりとり(内容まではわからないが)が何となく聞こえ、少し緊張感が高まって来る。

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部屋の前で待つこと10分程度、前の方の面接が終わり評価等のペーパーワークが終われば、面接官の方が部屋に迎え入れてくれる。

面接試験本番

私、試外(外国人試験官)、試日(日本人試験官)の三人の試験中のやりとりは(覚えている範囲で)以下のような感じでした。

試外) (ドアの外まで迎えにきてくれて)よくきてくれました。初めまして。さあ席についてください。
試日) どうも初めまして。OOOと申します。
試外) 私はOOOと申します。よろしくお願いします。
私) 本日はよろしくお願いします。
試外) (試外と試日の二人で私の面接シートをじっくり見て)あなたの職業について教えてください。
私)OOOという団体に勤めています。業界での役割はOOOで、実際に毎日OOOという業務しています。たまにOOOといった業務をすることもあります。(仕事が特殊なためアウトラインだけ書きます。)
試日) (私が属する団体に関連して)OOOの元代表はOOOという理由で引退されたそうですよ。ご存知でした?(かなり雑談的に情報をくれる感じで)
私)それは知らなかったです。OOOの元代表が日本人だということしか知りませんでした。

[ここから空気ががらりと変わって本番な感じ]

試外) UNの目的は何かご存知ですか?
私)世界平和を維持するための組織です。様々な問題がグローバル化する中で、UNは世界をリードし、活発に平和の維持に努めています。
試日) same sex marriageについてどう思いますか?各国で問題になっていますが、法律で認められるべきですか?
私)法律で認められるべきと思います。同性愛は生物学的に自然なことです。平等に扱われるべきです。私の友人には同性愛が好きだという人はいませんが、法律で認められるべきと思います。
試日) capital punishmentについてどう思いますか?
私)死刑制度は必要です。もし犯人が社会復帰すると、また悪いことをする可能性があります。(悪いことをwrong thingとか言った自分に幼稚だなと思いつつもrecidivismがとっさに出てこず。)だから死刑制度は必要です。
試日) (面接シートに興味があると書いた)私が働く業界でのglobal warmingについてどんな取り組みがなされているのでしょうか?
私)まず私が働く業界では、どの程度環境に悪影響なのかをはかることが非常に困難です。そのためあらかじめ排出基準に満足することが承認された特別な装置の搭載を義務付け、温暖化防止に貢献しています。
試外) UNのアフリカへの貢献はどんなものがありますか?例えばコンゴ共和国への貢献なんかはどうですか?
私)今朝まさにPKOの職員がコンゴで殺されたニュースを聞きました。コンゴではPKOが食物、衛生的なトイレ、子供への教育等を提供して貢献しています。
試外) ミャンマーの問題についてどう思いますか?
私)ロヒンギャ問題は一つのミャンマーの深刻な問題です。ロヒンギャはミャンマーで差別を受け、隣国バングラディッシュに逃げますが、そこでも生活の質は非常に低いので、継続的なモニタリングとさらなる国際的かつ包括的な努力が必要です。
試外) 難民についてはどう思いますか?
私)特にヨーロッパではアフリカや中東からの難民の流入が深刻化しています。
試日) UNICEFは子供をケアするが高齢者をケアするUN組織はありませんが、何かアイデアはありますか?
私)高齢者は経験や専門知識を有しています。国連がもし積極的に高齢者の雇用奨励を行えば良いのではないでしょうか?(あまり答えになってない。)
試外) 人口増加問題の解決策は何かありますか?
私)これは私のただのアイデアなのですが、日本の様に少子高齢化が進む国が難民を受け入れるというのは一つの解決策になり得ると考えます。規則や条約上多くの障害はもちろんありますが、有効な策になると思います。
試外) 最後にあなたが最も深刻だと思う問題はなんですか?
私)難民、テロ、いろいろありますが、、、やはり差別だと思います。
試外) その理由はなんですか?
私)差別を受けると大きなストレスを生み、それが他に向けた敵意を刺激するからです。
試外) わかりました。今日は以上になります。ありがとうございました。
私)本当に今日はありがとうございました。失礼します。

面接を受けてみた感想

上記でわかる様に、相手が二人いることからも、様々な方向から質問が飛んできた。トピックの移り変わりがとにかく早いため、頭を切り替えるのが大変でした。
日本と海外, LocalとGlobalを行ったり来たり。(日常で社会問題について英語で話していても、こんなに様々なことを短時間で話すことなんて経験した事がない程だった。)

しかし、面接の雰囲気としては比較的温かい雰囲気で、冗談を交えながらアイスブレイクをしてくれたり、頷いたり、”That’s a very global idea”等と肯定してくれたりと、こちらが話しやすい様な配慮が多く見られました。

皆さまに提供できるアドバイスとしては、時事問題はもちろんのこと、それに加え国際情勢に少しでも関連があれば英検1級(2次試験)でお馴染みのトピックが一定の頻度で登場したので、受験前はそちらの復習もしておくことと良いです。

長い間考えていないトピックをいきなり話すのはなかなか難しいものがあります。



初めて面接を受験される方へ

面接の雰囲気は上記の通りですが、この試験はやはり独特で、特に気をつけなければならない点をうまく伝えきれていないかもしれません。

半年に一度しかない、受験料は一回1万円、東京と大阪でのみ開催なので地方住みの方は出張費がかさむ、できれば早めに合格したいこの面接試験。

最後に注意事項ということで、初めて面接を受験される方が力を出し損ねて後悔しないために、心得ていただきたい事項を以下にまとめて掲載します。(気づきがあり次第、随時更新します)

まとめ

国連英検特A級は、英検1級の方でもあたりまえに不合格になるほど難易度が高いので、ネット記事には、合格者としての情報が少ないように感じます。

私としては、特に各地域別の情報が皆様にとって参考になっていれば幸いです。私の理解に誤りがないよう、色々な文献を参照して確認したり、最新のニュースを更新する等、作り上げるのになかなか時間を要しました。

ただし前回記事に書いた通り、それらの情報は少し古いままでアップデートされていませんのでご了承いただきたく。

さて、この面接試験が終われば、長かった国連英検特A級も終わり。

国連英検特A級の総括として以下。

国連英検を主催する日本国際連合協会は特A級のレベルを以下のように定めています。

「英語力はもちろんですが国際的に通用する知識・情報なども要求される点に特徴があります。文化、経済等、多くの分野の問題を自由に討論する能力が要求されます。」

面接を終え合格された方は、ここまでの学習を通じて上記のレベルに見合う能力を身につけることができたのではないでしょうか?

おそらく国連英検に挑戦するbefore ・ afterで比較すると、英語力の大きな前進を感じることができるかと思います。この価値は、実際に努力して合格を勝ち取った者でなければ分からないかもしれません。

TIMEやECONOMISTやCNNやBBCといった英語媒体の情報源をより一層楽しめる実力がついただけでなく、国連に関連する・しないに関わらず、国際会議等のビジネスの場や、海外大学の授業においても使える英語のアイデアをたくさん蓄えたはず。個人的には、これこそが国連英検特A級受験の最大の意義。

最後に。

国連英検特A級に合格してから見る英語の景色は、英検1級に受かった直後のそれと比べて一段とクリアに、そして一層楽しく見えることを申し添えます。

本当に今までにないほどに。何度落ちても、ぜひ気長に合格を目指し続けて欲しいと思います。

たとえ落ちても、その間しっかり努力することになるので、受験する価値は十分あります。

以上、国連英検特A級の面接試験についてでした。

ABOUT ME
なみすけ85
会社員(38)。2児の父。趣味でブログ運営。英検1級、TOEIC満点、国連英検特A級(外務大臣賞)。できるだけ金のかからない自宅学習法を目指して発信。