上級者への道

国連英検特A級(筆記) 【前編】

こんにちは、なみすけ85です。

これまで掲載してきた「TOEIC900」と「英検1級」に無事合格すると、国内では間違いなく英語ができる人と評価されます。

予備校講師や翻訳家など非常に高い英語力が求められる一部職種を除き、海外事業に特化した会社においても、この2つの資格は十分通用するでしょう。国際会議に出ても言いたいこと、言わなければいけないことは言える、というレベルでしょう。よって当カテゴリー「上級者の道」としては、前回で一応一区切りというところでした。

ここから先は、以下余力がある方でさらに上を目指したいという方だけ、引き続きご覧いただければと思います。

  • 雑誌やニュースなどをネイティブと同じレベルで楽しみたい人
  • 会議において多少ネイティブがプレッシャーをかけてきても跳ね返す交渉力が欲しい人
  • 本気でネイティブに迫りたい人

 

もちろんここから、TOEFL、IELTS、ケンブリッジ英検などで学習を続けられる方も多いかと思いますので、その場合もここが分岐点となります。一方、英語中級者から上級者を目指すにあたり、受験コスト・資格の有効期限などの観点から前回記事で提案した「英検1級の後は国連英検特A級」の流れに沿っていただける方は、引き続きお付き合いください。

英語中級者が上級者になるためのロードマップ

それでは、英検1級を取得した後、いかにして国連英検特A級(筆記)に合格するかをまとめます。できるだけ英検1級と国連英検特A級の「差分」にフォーカスが当たる様配慮しつつ、この記事を読めば、国連英検特A級(筆記)の概要・雰囲気・対策の全体像を大体全てわかっていただけるガイドライン的なものになる様にまとめます。

どのように取り組むか?

国連英検特A級の合格者がとても少ないので、なかなか情報が手に入りにくいです。公式問題集や国連英検のホームページに掲載される合格体験記を除くと、あとは有料の英語学校の情報かネットのブログ記事くらいしかありません。

まずは英検1級取得後、さらにどのような力を身に着ける必要があるのか?

以下の三つに分類されます。

1. 語彙力(15000語レベル)

2. 国連知識

3. 文法力

上記1、2はともかく、3?とお思いの方多いかと思います。国連英検特A級の1次試験では、意外にも文法問題がそれなりの比率で出題されます。レベルはもちろん高度なものです。英検1級には文法問題はないので、TOEICにでないような難問と捉えて頂ければと思います。(場合によってはとても簡単な問題が含まれることがあります。)

また原則上記とはなりますが、合格への道のりは人それぞれ。

というのも、英検1級合格者のレベルといっても様々だからです。帰国子女の方の様にリスニングで稼いであっさり合格された方、純ジャパで単語をひたすら勉強して得点源として合格された方、同じ資格を持っていても国連英検特A級の筆記試験に合格するスピードは人によって異なります。そして中には、単語は10000語レベルでも、読解力とエッセイ力だけで、またあっさり国連英検に合格する人もいるというのも事実。

ただ、私のような一般の方も心配は無用。上記項目化された3つを問題集を通して学習すれば、大した試験ではありません。個人的には英検1級(筆記)の方が、英語体力がついてない分、負荷がでかくてしんどかったと記憶しています。

そして何より、このレベルになると、資格取得自体が目標ではなく、そのために勉強する過程こそが目標となる時期というのが重要な認識事項。何が言いたいかというと、私が知る限り、国内最高峰の資格の一つである英検1級を取ったら多くの人はそこで資格の勉強を止めてしまいます。後は実践教材だといって、英語の学習方法を洋画やCNN,洋書に切り替える人は多いです。

これを根気強くできれば良いです。分からない単語は逃さず覚えるのなら良いです。

しかし実際にここまでモチベーションを保つのはとても難しいです。

例えば最終的には、英文雑誌の単語がほとんど分かる単語レベル20000語を目指したいところ。でも英検1級の10000語弱レベルから20000語まで行こうとすると、どうしても集中的な勉強が必要になります。

国連英検合格を目指して、文法書然り単語帳を集中的に覚える作業が第一の目標であり、試験合格自体は付随的なものになるということ。

逆に言えば気楽です。試験合格をのんびり目指せばよいのですから。それでは、ゆっくり学習を進めていきましょう。



国連英検の難しさ

はじめに、恒例の実力診断という事で過去問を解いていきます。公式の過去問が出ているのでそちらを使います。

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時間を計っていくつかやってみて、すでに一般的な合格ラインである7割を超えて、8割,9割取れるのであれば、もはやこの記事を読む必要ありません。しかし、初めて国連英検に取り組む場合、そんな方は多分ほとんど存在しないと思います。良くても7割程度であると予想します。

なお、最初の10問は国連知識問題なので、飛ばしてもらってOKです。(以下で勉強の仕方をご紹介します。)

 

さて、実力診断をやってみて、いかがだったでしょうか?

英検1級に合格している皆様は、英語の基礎力は十分あるので意外と結構(5、6割)解けたのではないかと予想します。一方、一般的な合格圏である7割の正答率に届かないという方も多いのではないかと思います。

私も英検1級取得した後に過去問を数回挑戦してみましたが、国連知識問題とエッセイは抜きにして、平均6割で、7割はギリギリ届かないぐらいの正答率でした。

では、「合格点が6割弱程度の時もあるし、後少しだけ勉強すれば合格できるのか?」と言うと、必ずしもそうではないというのが、国連英検特A級の難しいところ。実力はそれなりなはずなのに、不合格を連発するスランプの様な状態に陥る方もいます。これは、国連英検の問題の傾向が、知らなければ得点できない問題を多く含んでいるためと思われます。

英検1級であれば、読解問題やリスニング問題が得点の多くを占めるため、勉強すればするだけ英語力がついていき、最初の語彙問題で多少知らない問いが出題され得点できなくても、他のセクションで総合力や実践力でカバーできる場合があります。しかし国連英検の場合は、語彙、国連知識、文法どれも確実にかつ幅広く習得していないと、知らない問題に出くわした際に、全く得点を稼げなくなります。

国連英検の合否は、英検1級同様、1、2点で勝負が決まる場合も多いです。運悪く知らない文法問題、たまたま忘れた単語問題等が頻繁に出題されると、長期間にわたり不合格から抜け出せないケースが起こり得ます。

上述の通り、英検1級取得後から、伸ばすべき力が3つ(語彙力、国連知識、文法力)あることが分かりました。これらをやれば一朝一夕で劇的にスコアが伸びるものではありませんが、満遍なく習得しておくことで、どんな問題が出てきても合格点を取得するだけの対応力がつきます。

地道な努力になりますが、安定した合格力を得ることができます。



英検1級を凌ぐ語彙力が要求される

はじめに、国連英検特A級(筆記)突破において最重要項目である、語彙力(15000語レベル)の習得方法について。

まず、語彙力増強、所謂ボキャビルは、他の2つ(国連知識と文法力)と比べて習得時間がかかります。しかし、これなくしては国連英検特A級(筆記)に受かる確率は、非常に低いと言えます。

なぜなら受験者のほとんどが英検1級取得するほどの実力者なので、点数に差がつきません。そのため努力なしの状態では、自分ができるものは他の人もできるし、できないものはできません。よって、合格点に届きません。

そして、もし仮に、たまたまあっさり合格してしまっても、英語力という観点で次のステップに行けていないことになります。

以下に3つ単語帳を紹介しますので、少なくとも上2つの単語帳(超上級と極上)はやっておくと良いです。

これは外せません。必ずやらなければいけない単語帳。何と言ってもこの中から実際によく出題されています。3000語収録。オススメは別売りの音声CDではなく、携帯のアプリと併せて使うと効果的。

上の究極シリーズとリンクしていないので、いくつか単語が重複しますが、良い復習ということで。何より、実際の知識人ネイティブが使う単語を抑えられるのが嬉しい一冊。CD付きで1000語収録。試験に合格しても、(英語上級者を目指す上で)いずれどうせやるべき一冊なので、できれば試験前にコンプリートしたいところです。実際に上の究極シリーズを制覇した後にやってみましたが、上級単語帳だけあって知らない単語も結構ありました。(おそらく半分くらい。)リスニング音声もあり、使い勝手が良いので入手しておきましょう。

公式単語帳っぽいので一応何周かやりましたが、正直な感想は「あんまり試験に出てないのでは…」という感じもあります。余力があれば程度の扱いで良いと思われます。

以上、三つほど紹介しましたが、まずは12000語習得を目指しましょう。おそらく英検1級ギリギリ合格の方は、それだけでも2,3ヶ月はかかるはずです。とりあえず上記が合格のためのミニマムなので、上述の単語を自分のものにして安定した合格を身に付けましょう。

余力がある方、どうしても合格できないという方

上記の単語帳をやり終えた方で、さらに他の受験生が知らない単語を覚えて余裕合格を目指す方、またこれまでの対策をやったが不合格でこれから何をやればわかない方にオススメの単語帳はこちら。

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AMAZONでみると、誤植が多いと低レビューですが(私はそこまで気にならないが)、そもそも17000単語レベルを収録する国内版の単語帳はほとんど存在していないため、とても貴重な高難易度単語帳です。そのため、アルクの極上の単語帳をやった後にチャレンジしましたが、さらに半分くらいの知らない単語がありました。書き込み式で、50日で完成という感じ。

またこちらも上記のアルクSVL12000の後にやる単語帳としておすすめです。ジャパンタイムズが出版しており、とても綺麗な単語帳に仕上がっております。詳細はこちらの関連ツイートでも紹介しております。

人にもよりますが、国連英検特A級の単語習得はとても時間がかかります。おそらくこれこそが国連英検特A級の難所です。しかし、ここまでやれば、最初は不可能に思えた国連英検特A級の語彙問題や長文問題がスラスラと気持ち良く解けるようになるでしょう。その感覚ときたら、とても爽快です。

国連英検特A級のための単語学習は、決して無限の努力を要求するわけではありません。日々の生活にボキャビルを埋め込んで、コツコツやっていきましょう。

そうすれば、必ず「1次試験合格」という形で終わりが来ます。

さらに難単語を目指す方はこちらの記事をどうぞ。

国内最高難度の単語帳を探してみた【語呂合わせを使った英単語の覚え方】



国連知識問題

これまで英語の学習をしてきて、この手の英語に直結しない知識を勉強しなければいけないというのが、この試験最大の特徴です。

筆記試験100点満点のうちの10点分をこの知識問題が占め、英語力がいくら高くても、知らなければ解けない問題となっています。10/100点をどう捉えるかですが、普通に考えて配分がでかいと捉えるべきでしょう。

2 or 3 / 100点くらいであれば、捨てるのもアリかと思いますが、他の受験者との競争(つまり合格点)において、点数が10点マイナススタートはでか過ぎます。

よって、まずここで他のパートの得点の足を引っ張らない最低7点以上を取る実力をつけることを目標とします。

この国連知識を学習する参考書についてですが、国連知識問題の全てはここから出ることになっているので、まずこれを覚えましょう。(言い換えると、ここに書いてあることをすべて暗記すれば10点満点をとることができます。)

※なお、以下の通り教科書が新しくなるので、注意が必要。

(2019年第2回までは、すべてこちらから出題)

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(2020年第1回以降は、すべてこちらから出題)

書店で見た方は、「分厚っっ…」との感想を持つかもしれないが安心ください。このうち半分は日本語、もう半分は英語で書かれているので、内容としては実質半分。さらに国連憲章や組織図のコピーが付録として入っているので、思いのほか内容は薄いです。

通勤電車の中で2、3週間も読めば、通読できるはずです。たまに、「国連英検は国連知識問題があるから受けない」と言う意見も見かけますが、「国連知識問題は本当にこれだけなので、やればいいのに」とお節介にも思ってしまいます。高校の社会系の科目に比べると、覚えるべき内容は、とてもとても薄いです。

効率的な暗記の仕方

ただ、上記で紹介した教科書を一字一句全部覚えられる、脳みその柔らかい学生を除き、私を含め(脳の構造が退化した?失礼、変化した)大人の皆さんは、要領よくやらなければいけません。頭の固くなった私がやってみて実際に効果的だった覚え方を紹介します。

1. 教科書の日本語をざっくり読んでどんなことが書かれているのか頭に入れる。(国連の組織のこと、PKOのこと、専門機関のこと等ざっくりと整理する)

2. 過去問の知識問題の解答を覚える。(毎年いくつかの問題は過去問と全く同じものが出る

3. 覚えた過去問が、教科書のどこに載っているか日本語、英語で確認し、周辺知識を理解する。(多分この時点で5点以上は正解できる)

4. (ここからは余力があれば)残りの部分を覚えていく。

上記4.を薄くでも覚えることができれば、おそらく目標の7点以上は取れます。私の場合は、この方法を使って2~3週間でコンスタントに6,7点を獲得できるようになりました。またその後さらに上記4.も濃くやったことにより、8,9点は得点できる様になりました。

本業(英語力の向上)にもたっぷり力を注ぎたいので、できるだけ省エネで。

※追記(2020/11/29)
2020年第2回においては、国連知識問題の出題傾向が大きく変更され、過去問からの出題がほとんどなかったとのことです。上記は参考までの情報として頂きますよう、よろしくお願いいたします。(上記情報によりご迷惑をおかけした読者の方、誠に申し訳ございませんでした。)

国連知識習得の意義

「今後の英語生活における国連知識の意義」について触れておきたいと思います。

英語中上級者が国連英検を受験しない理由として「国連知識の習得は英語と関係がないから」という言葉をよく見かけます。

しかし本当にそうなのか?

個人的には「国連知識は英語ライフを満喫するために最低限必要な知識である」と思っています。

例えば、これまで英検1級(筆記)の勉強のときも含め、たくさんのTIMEの記事を読んできました。当時の英語レベルでおそらく記事を完璧に理解できた方は稀だと推察しますが、仮に英語力、例えば記載される全ての英単語の意味及び文構造がわかる状態で、TIMEを読めば、その記事のことが完全に理解できるのかといういうと、答えはNoだと思います。

TIMEの記事のトピックは、主として世界情勢とアメリカの政治が多いです。そして前者の世界情勢の記事を見ると、昨今の不安定な世界情勢のため、その多くはネガティブなもの。ISIS等イスラム過激派のテロを始め、クリミア領地争い、南シナ海領海争い、北朝鮮の問題等、様々なことが”Security”に関連しています。

こういった問題を語る上で欠かせない存在が国連です。

国個別レベルでの対応がほぼほぼ無理な問題をどう解決に導くのかというと、国個別レベルに加え、各国の協力体制レベルでの話になり、そしてその多くは国連、特に安保理によってリードされます。

さらに、各国の協力体制や紛争を語る上で必要なのが、国間の確執です。そのため、少なくとも国連の組織そしてこれまでのどのような紛争が起こり、どんな因縁が各国にあるのかを理解せずして、記事の完璧な理解には到達できないはず。

このことは、TIMEだけでなくCNNやBBCにおいても同じことが言えます。平たく言うと、「海外のニュースの多くは国際情勢ネタなので、英語がいくらできても、国際情勢の基礎知識を持っていないと理解できません」という状態が予想されます。

先に紹介した教科書はこれらのことを薄くですが広く言及しており、我々が国際問題を考える際の背景知識を与えてくれます。

この記事の目標とするところは、英語力が物を言う資格ですが、資格取得後の英語人生で使える知識となるので、ぜひ国連の仕組みの理解と歴史について勉強する良い機会だと捉えて頂ければと思います。

皆様のモチベーションにつながりますように。



高難易度文法の習得

TOEICの文法問題はほぼ全問正解というレベルの皆様でもってさえ、まだ解けない問題というのが数多く存在するというのが国連英検特A級です。

おそらく前の実力診断で過去問を解き答え合わせをすると、答えを見れば、

  • 「あ、なるほどね」とわかる問題
  • 解説を読んでも納得できない高難度の問題



の二種類が混在しているかと思います。

所謂「あ、なるほどね」問題は繰り返し解いて、体に染み付けてもらうしかないですが、後者をなんとかしなくてはなりません。

そこで高難易度の文法問題を凝縮し、かつ国連英検特A用であるこの問題集は必読です。

「自分はもう上級レベルだから」なんて言ってる人でも半分も解けないかもしれません。高校レベルで英文法が終わりでないことを改めて気づかされる一冊で、当時TOEIC文法問題満点だった私も最初は歯が立ちませんでした。かなり難しいが、その分やりごたえがあります。そして本試験の文法問題で力を発揮します。

私がやってみて嬉しかったのが、TIME等一般の雑誌にある難しい記事の文構造が理解でき、読めるようになり、自分の英作文のレベルが上がったこと。「これやらずして、 国連英検特A級の突破なし、次のレベルへの前進もなし」といった感じになっているので、ぜひ挑戦してみてはどうでしょうか。

まとめ

以上で、国連英検特A級(筆記)の基礎力を養う学習は終わりです。

かなり簡素化して書きましたが、実学習時間的には、特にボキャビルが結構大変になるのではないかと思っています。

ぜひ毎日のルーチンワークに上記を少しでも落とし込んで、長いスパンで合格を狙っていきましょう。

ABOUT ME
なみすけ85
会社員(38)。2児の父。趣味でブログ運営。英検1級、TOEIC満点、国連英検特A級(外務大臣賞)。できるだけ金のかからない自宅学習法を目指して発信。